ナツキのブログ

特撮やTVアニメや映画をまれに観るため、その感想や、それ以外全てを書きます

今すぐ映画館に行け!!!~『数分間のエールを』感想~

『数分間のエールを』を観て!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


こんにちは。ナツキです。

今までここは読み専のアカウントとして放置していたのですが、現在全国の映画館で公開中の『数分間のエールを』という映画があまりに良かったため、ここに感想を書くことにしました。

公開からもうすぐ2週を過ぎることもあり、ネタバレありでも感想を読んでもらって、気になった人が映画館に足を運んでくれたらいいな~と思って書いてます。

早々にタイトルと言ってる事が真逆になってしまいますが、とにかく観てほしいのです。

はじめてのブログです。万事温かい目で見て、そのまま映画館で『数分間のエールを』を観て、目に焼き付けてきてください。


『数分間のエールを』って、どんな映画?

yell-movie2024.com
こんな映画です。

脚本家が僕にとって大変になじみ深い、『ラブライブ!』や『ガールズバンドクライ』の花田十輝さんです。

『ガールズバンドクライ』は今季アニメであり、執筆時点で最終回の放送を目前に控えている、イッキ見の旬な時期にあるアニメです。

僕はリアタイで追っていましたが、一気に観るとストーリーのつながりが分かりやすくてグッと旨味が出そうな感じがします。こちらも是非!

花田さんといえば青春の真っただ中にある人間の感性の瑞々しさや、そこから生まれる感動や葛藤を克明に描かれる方だと感じています。

個人にとって人生を左右するような出来事でも、端から見るとなんてことない普通の事をやっている……ということは人生にはよくあることですが、花田さんはその「個人にとっての一大事」を、映像作品を観ているこちらにも当事者のように引き込んでくれるような気がします。

もちろん作品の雰囲気は脚本家のみで決まるものではありませんが、そうだと分かっていても毎回上記のやられ方をして作品に没頭しています。なんでなんでしょうね。

そういった作品を多く作られている花田さんが参加されている、モノづくりをする人々がテーマの作品……面白くないわけないんです!

まあ僕は花田脚本か~!というだけで他のことを一切知らずに観に行って、席に着いた時にはそれすら忘れて、エンドクレジットでびっくりしていましたが。


モノづくりをする人に観てほしいのか?いや、全員に観てほしいのです!

だからブログを書いたのです!

感想といっても、特に感動した部分いついてだけ書くつもりで、作品全体については上手く書けないので、やめておきます。

そもそも一回しか観ていないので、イチからジュウまで感想を書いたらどこかで必ず記憶違いをやってしまいます。

普段はTwitter(自称X)にて作品の感想を書いているので、体系立ててものをかくのが苦手です。

しかし今回のコレ、140字を何回かに分ける書き方では無理だ……!となったので、今回はブログにしました。僕としては感想記事も次があるといいな~と思っています。

モノづくりがテーマとなると、普段からそういう活動をしている人、もしくはかつてそうだった人でないと、作品の雰囲気に入り込みにくいのでは……という感覚がある人は結構いると思います。僕もそうですし。

ただ幸いにも僕には気が向いた時に二次創作の小説を書く趣味もあり、まあまあ没入しやすい方ではあると思ってます。

ただ、今回はなんとなく、そういうものに縁が遠い人にも刺さるものが多い気がするので、まあとにかく観てみてほしいです。

先に書いた通り、花田さんが脚本を書かれたアニメは当事者の気持ちになって、作中の登場人物と一緒に体験したような感動をくれるのが魅力的です。

だから、というと言い訳になるのですが、じゃあ具体的にどう良かったの?と訊かれると「なんか……こう……スゲー良かったんだよな……」となります。

こればっかりは観てもらうしかないのですが、しかしなるべく感想を伝えておけば、ハードルも下がると思うのです。

なので、せめて言語化できたところだけ、ここに書いておきます。

また、この記事では言及する登場人物を「朝屋彼方」「外崎大輔」「織重夕」の三人に絞ります。

が、他の登場人物もたいへん魅力的であり、みんなが活き活きしているからこそ、この作品が魅力的になっているものと思っています。このあたりも是非自分の目と耳で作品を観て、体感していただけたらと思います。

前置きが長くなりましたが、ここから作品内容の話です。読んで、映画観て!


ココがすごい!『数分間のエールを』


彼方、トノ(外崎大輔君が作中において彼方君からこう呼ばれています。かわいいね)、先生(織重夕さんのことです)は、作中においてそれぞれに目標があり、それをかかえた人生が交わりあいます。

しかし特に作中で印象に残るのが、トノや先生には自分の夢に挫折する感覚が実体験として理解できるが、彼方にはそれが無く、現時点では2人に共感することができない、という線引きです。

しかし彼方には絵を描くことに情熱を向けた過去があり、トノの才能と、自分の才能の無さを痛感し、それを諦めた過去があります。

ではなぜ、近い挫折をしているはずの彼方は、トノと先生に共感できないのか?

作中で明言はされませんが、ここにはかなり具体的な答えがあるように見えました。『責任の有無』です。

彼方とトノが共に絵を描いていたのは中学の頃(間違ってたらすみません)であり、そこでトノが賞をもらったことにより、彼方は自分の絵の才能がないことに打ちのめされ、トノは世間から評価を得たことによって今後の活動に期待されていくこととなります。トノが高校での活動に広いスペースを使えていたのにも、そういった背景があるのでしょうか?

しかしトノは作中にて、自分が「何を描きたいのかも分からない」ことを吐露します。にもかかわらず、膨大な量のスケッチブックには彼の血のにじむような練習と、葛藤の痕跡が残っています。その中でいよいよ進路を決めなければならない時期が来て、大学で芸術を学ぶことを諦めています。

おそらくトノには、才能を足掛かりに評価されてしまったことで、自分の中で自由に決められる目標と、周囲に求められる成果にギャップが生まれ、そこで板挟みにされることへの悩みがあったのでしょう。

先生は高校生だった頃に音楽にのめりこみ、以降は学業と並行して音楽制作をしていました。

しかし、作った曲が世間に大きく評価されることはなく、教員になることを決めると共に、音楽を作ることをキッパリやめようとしていました。

ただ、一方でアーティストとして見向きもされないのかというとそうではなく、街頭での弾き語りは彼方を魅了し、ライブハウスでの歌と演奏はアウェーな場でありながら観客の視線を釘付けにしていました。

先生も恐らく、周囲の評価は得ており、「やれるかも」という感触はありながら、しかしそれで食べていけるほどの実力や巡りあわせがなかったのではないかと思います。

では彼方はどうなのかというと、絵については周囲の評価が得られずに挫折しており、MV作成についても、本格的に環境を整えて打ち込んでいる様子ではあるものの、彼方自身の情熱でモチベーションが完結しており、これを仕事にするとか、そういった素振りは見せていませんでした。

この違いが、彼方と二人の決定的な差だったのだと思います。

中盤、彼方は先生の曲にMVを作り、その内容が先生が曲に込めた思いと乖離していたため、行き違いが起きていました。

youtu.be
↑この曲

彼方はこの曲に諦めない気持ちが込められていると解釈しMVを作りましたが、実際にはこの曲は諦めたものを肯定し、美しいものだったと振り返る歌であり、先生との会話の後、トノにそのことを指摘されます。

ここ、振り返ってみると描き方がスマート過ぎてびっくりしました。

この三人の中で、無条件に自分の夢にリトライを続けられるのは、彼方しかいないのです。

現状、自分の心が折れない限り夢と向き合える彼方では、環境にタイムリミットを課せられた二人が苦しみながら諦めた夢の事を理解できないのは、当然のことです。

彼方は先生に、自分がどんなMVを作っているのかを知ってもらうため、過去に動画がアップされていた先生の歌を元にMVを作り、それを観た先生から改めてMV制作の許可を貰っていました。

しかし先生はこの時点で、自分が歌に込めた思いと彼方に見えているもののギャップを感じ取っていました。そのことに気付いた彼方から、何故MVを作っていいと言ったのかと問われ、「なんでだろうね」と答えています。

僕はここ、彼方の諦めない気持ちが、作品を超えて直接先生に刺さったのだと思っています。

先生が歌を諦めたたくさんの『理由』を全部押しのけて、諦めない彼方の気持ちが、先生が歌を始めた時の気持ちを思い出させたのかな、と感じました。



彼方は公式サイトに説明のある通り、初期衝動で動きがちな人間です。

しかし、今この瞬間は純粋な熱意で動ける彼方が、夢を続ける中で壁の多さに諦めてしまったトノと先生の中にある同じ気持ちを思い出させていく。この映画は、そこにある上手く言えないものを、上手く言えないままでぶつけてくれる作品なんだと思います。


うまくまとまりませんでした!申し訳ない!

筆の向くままに認めた文章で、今ここを書いている時点でも書き足りていない感じはあるのですが、もう全然まとまらなくて、これが精いっぱいです……

それと、ネタバレ込みとは言え野暮だな……と思い、最終盤については触れていません。エンディングはキミの目で確かめよう!

とにかく、まだ観てない人は観に行きたくなってくれたら、もう観た人には僕の感動が少しでも伝われば嬉しいです。

『数分間のエールを』は現在順調に上映館が増えていっているところであり、それなりに長期間上映してくれるような雰囲気が出てきました。もしかすると少し待てばサブスク配信が始まるかもしれません。

しかし!やはり劇場公開作品ですので、音のこだわりや大画面でこそ圧倒され飲み込まれる迫力は確かにあります。

この記事を読んでくれた方には、どうか、どうか、映画館で『数分間のエールを』を体感してほしいです……!

今回の記事はここで終わりです。いつかまた記事を書いた時は、読んでくれると嬉しいです。